空気さなぎは盲目山羊の夢をみるか ~『1Q84』村上春樹~
『1Q84』読了。
本当はもっと早く読み終えることができたと思うのだが、
なんとなく数日、ほうっておいた。
やはりこの作家の作品は、どうも納得がいかないことが多い。
今回も、思わせぶりな謎の言葉と伏線じみた設定を、
ちりばめるだけちりばめて、ちっとも回収しないまま終わった。
前半から中盤にかけては良いのだ。
全然接点のないところで登場した主人公たちが、
運命の糸に絡み取られるみたいに、
どんどん引き寄せられていく。そこんところは良かったのだが。
ふかえりが失踪したあたりから、急に流れが悪くなったような気がする。
そしてあのラストは。
救済じみた含みは持たせているけれど。
それでもなで読んでしまうかといえば、
キャラクターそれぞれの個人生活は、えらく調和がとれていて
心地よいから。
贅沢はできないにしても、
食うにも着るにも困らず、部屋を整えるすべを知り
目立たなくても快適に暮らしている。
若くして隠遁生活に入ったみたいで、
それでいて、何かやりたいと思えば、
やるだけの才能も金も供えている。
ただ、その気がないだけ。
正直、ひどく羨ましい。
そして主人公は
大してハンサムでもなく努力もせずして、
不思議に異性に苦労しない。ああなんて都合の良い。
それなりに苦悩は抱えているのだが、
ちっとも苦悩に見えない。清潔で静謐で恐ろしくゆがんでいる人生。
そのゆがみに引かれるというか、憧れる自分がいる。
だからといって、主人公の飲み物、食べ物、音楽の趣味を真似しようとは
全く思わないけどね。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 空気さなぎは、さらに夢を見る ~村上春樹『1Q84』~(2009.09.25)
- 空気さなぎは盲目山羊の夢をみるか ~『1Q84』村上春樹~(2009.07.07)
- 小説家の仕事 ~村上春樹『1Q84』~(2009.06.16)
- のぼうの城 ~どこまでいっても昼行灯~(2008.11.24)
- ナイチンゲールは3Dの夢を見るか~ 海堂尊 『ナイチンゲールの沈黙 上下』(2008.11.14)


コメント